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隠れて見えなかったもの

<草の香り>

歩き慣れた道を歩いていると、とてもいい香りがしてきました。

草を刈る香りです。

草を刈る香りが大好きです。

草を刈る香りは、アラスカに住んでいた頃の情動記憶と繋がります。

長い冬が終わり、待ちに待った春がやってきます。

あたり一面を覆っていた雪が解け、草や芝生が顔を出します。

草や芝生が現れてきた時、何とも言えない草の香りがします。

「ああ、春がやってきた」

とても幸せになる瞬間の香りです。

草や芝生を刈る香りは、気持ちのよい清々しい季節をイメージさせます。

<静かに凛と咲くあじさい>

どこから香ってくるのだろうと、キョロキョロして見ると、あるレストラン街へ続く小道の草を刈る男の方が見えました。

ああ、あそこの草を刈っているんだ。

草だけではなく、蔦も刈られています。

きれいな生け垣なのに随分大胆に刈ってしまうのだな。

そう思ってもう少しよく見ると、男の方が草を刈っている奥に、あじさいの花が咲いているのが見えました。

なるほど!

あじさいの季節となり、あじさいが咲き、その咲いているあじさいが草や蔦に覆われて見えなくなっているので刈っていることがわかりました。

隠れていたあじさいがよく見えるようになりました。

静かに凛と咲く、とても美しいあじさいでした。

<隠れて見えなくなっているもの>

あじさいの美しさを味わいながら感じたことがあります。

何かに隠れて見えなくなっているものが、きっとたくさんあるのだということを。

隠れて見えなくなっているものに、気づき、それを大切にする。

草の香りや美しいあじさいから、生き方や日々の生活へも取り入れられる1つの大きなヒントを頂きました。

 

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